ラーメン、その原点
人それぞれ、いろんなことに原点があります。
たとえば、種々多様なラーメンが巷に満ち溢れている昨今ではありますが、おチュウにとっての原点は中華そばであって、故郷海南のとある飯屋の中華そばなのです。
その香り、出汁の味や透明度、麺の太さにその触感、ナルトの有無など —– すべて鮮明に覚えています。
直接店に入り注文したことはないけれど、何かの折に触れ親が出前し、みんなで食べた残像が今でも残っているのです。
あれから星の数ほどラーメンに出会い、そのほとんどを忘れてしまったにもかかわらず、田舎町のあの飯屋の中華そばは、今でも心の中に生きています。
そして、故郷にまつわる何かの事象に触れることがあれば、ときどきセットになって心の奥から出現してくるのです。
なので子供の頃の思い出と切っても切れない因子の一つです。
今は人生の後半を歩いているおチュウです。
ある日、もう一度あの中華そばを味わいたい! そう思いました。
そうすると、もう居ても立ってもいられなくなり、ついにもう一度食べようと故郷に帰る決意をしたのでした。中華そばを食べるためだけにです。