おチュウ、大衆演劇を観る ~最終回

定刻になり劇が始まった。

本日は沢村慎太郎劇団

冒頭、けたたましい昭和歌謡のBGMに乗り、

音の割れたマイクで、

昔、志村けんがよくやっていた呼び込みの

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませー、本日はお忙しい中 ‥‥‥‥」

のアナウンスで幕が開き旅一座の興業が始まった。

三部構成で、ミニショウ、劇、舞踊ショウと続くらしい。

最前列右端に野球帽をかぶった小柄なじいさんが座っていて、

踊りの盛り上がりに合わせてテープを投げている。

実に手慣れたもんだ。長年ここでやってきたのがすぐわかる。

ところで、

客席の手拍子やら掛け声が素晴らしく整然としていて、

婆さんたちの軽快なリズム感に驚いてしまった。

おチュウも何とかリズムに合わせて手拍子を打とうとするが、

勝手がわからずついていけない。

これが長年とった杵柄というものだろう。

ミニショウの後、定番の人情時代劇があり、

絵に描いたようなお芝居の展開に

思わず笑みがこぼれてしまう。 この安心感!

そして最後は一時間以上に渡り舞踊ショウが行われた。

曲も人生劇場や義理と人情の世界を表現した、

大衆日本人の心のふるさとというか、

お年寄りの好きそうな曲が館内に響き渡り

これに合わせて舞うのである。

この頃になるとおひねりのあらしだ。

すごい! この谷町的感覚

「あんたはわいが食わせてやってるんや」的な、

だからこれ取っときと小遣い渡す。

アンコールの後は、一座が外まで見送ってくれた。

クオリテイはけっこう高いのかも知れない。

テレビで見るいろんな新喜劇や歌舞伎も最初はこんな感じだったのか。

芸人は6-7人程度だと思うが、

裏方まで含めると何人いるのかよくわからない。

次は6月1日から和歌山移動し、

ブラクリ町にある劇場で一ヶ月間いて

さらに7月福井、8月大阪ということだ。

なんとなく劇の原点を見たようで

その魅力にはまってしまいそうになったおチュウでした。

  • 公演の様子は著作権の問題もあるかもしれないので、写真には納めていません。後で調べると、この類の一座が結構多いのに驚きました。劇場も大阪だけで29箇所あり、近畿圏で59箇所もあるようです。劇団は全国で約230団体存在し、日本社会の別の一面を垣間見たような気がしました。(http://0481.jp/ 大衆演劇「公式」総合情報サイトより)