トラウマは人生に影響を与えたか?

もう40年近く前のことだが、ある日大阪駅のホームにいた。

それが‥‥出張だったのか、大学の帰りだったのか思い出せない。

とにかく暑い日で‥‥

そのとき、事故だ! という叫び声が聞こえた。

どうやら列車に人が飛び込んだらしい。

よせば良いのに、引き寄せられるように声の方に向かって歩いて行った。

人が追い越して行く。

すると、黒山の人盛りができていて‥‥、目線の先は線路、引き裂かれた人が‥‥

おチュウはその場を離れ、環状線に飛び乗った。

が、途中で気分がすぐれなくなり次の停車駅で降りた。

ホームのベンチに座り、しばし夏空を眺めていた。

人の命を思った。 あの人は確かに少し前まで生きていた‥‥

 なぜ?

駅には「てんま」と書いてあった。

初めて降りた駅だった。

夏の陽に汗がにじみ出て‥‥

それから数十年後、縁あってその駅の近くに住んでいるが、

大阪駅での出来事は年に数度思い出す。

その人の光景を鮮明に思い出すが、少々トラウマになっているのかもしれない。

しかし、別にそのことで人や生き物がいやになったわけでもない。

むしろ命に関わる仕事をしてきた。

だから、それ自体が人生に影響を与えたわけではない。

しかし、あのときの光景と汗まみれの雰囲気や匂いがどこかに残っていて、

近似した状況に遭遇したとき、なぜか記憶の底から浮き上がってくる。


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