なつかしい道

土からかもし出されるなつかしい香りに

おチュウは思わず立ち止まり

しばらくその景色を眺めてしまいました。

散歩途中のことです。

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大阪のど真ん中で

どこを探しても

このような地肌むき出しの道を見たことがありません。

どんな細い道でも

一応は舗装されています。

日本のすごいところです。

子供の頃

このような道をよく走って遊んだことを思い出しました。

よくこけて膝が擦りむけ、

赤チンを塗った記憶があります。

まだ小さいので

足元がおぼつかなかったのかも知れません。

あの頃は、

このような道が普通でした。

表通りでも舗装されていない道が多く、

雨が降ると

大きな水たまりが

あちらこちらにできていたのを思い出します。

手前の朽ちた木柱から向こうは

昭和にタイムスリップしたようで

一歩踏み入れば

空気さえも違うような ——

おチュウは

なつかしさに顔の表情が緩んでいるのに気づきました。