忘れ去られた標識
おそらく、さっそうと登場したのでしょう。
ピカピカに光り、塗料の匂いなんかまだするような状態で!
ずいぶん働いたのかも知れません
雨の日も、灼熱の日も、
台風の日には強風で飛ばされかかったかもしれません。
そして才月が流れ ——
ペンキははげ、さびて、曲がって、ほとんど読めなくなって
気がつけば道の片隅に放り出された状態で
見向きもされずに
ただ重たくて、安定がいいもんだから
今日も気配を消して立ってはいますけどね。
もういい加減、引退したいなあ
でも引退しているのに等しいかもね
だってここは意味のないところだからね
そう言っているような気がしました。
おチュウは心の中で、
”お疲れさまでした”と言っていました。