時の移ろい
土手には、
ヨモギの花が一面に咲きほこり、
遠くには、
サッカー少年たちの整地をする姿が —-
耳を澄ませば、
コオロギの鳴き声が
あちらこちらから聞こえてきます。
穏やかな午後のひととき
突然、彼方から轟音が近づき、
見上げると、
空港に向かうジェット機の姿が —–
目前の旅の終わりは、
近づく現実のスタートでもあり、
機内はすでに着陸後の予定を頭の中で整理し、
今や遅しと
その時を待っている人々がいるはずです。
わずか頭上数百メートルを
ハイテク機器とその世界の人々が移動していく。
この土手を過ぎゆく緩やかな時の刻みとは、
無縁の世界です。
ほんの少し前までは、
頭上の人だったおチュウには、
このコオロギたちと過ごす時間も
同じ時の速度とは感じられず、
不思議です。