人生の節目を感じるとき
近所に古くて大きな木造の倉庫がありました。
持ち主の爺さんが商売をしており、頻繁にトラックが横付けされ荷物の搬出を行うのを横目で見ながら通り過ぎる日々。
爺さんは道を行く小学生の通学を見守り、おそらく地区の顔役でもあったのでしょうね。
しかし、あるとき姿を見なくなりました。
程なく倉庫の解体が始まりましてね。
古い木造なのでホコリも舞うし、しばらく迂回していたのですが、
ある日、どうやら作業が終わったようなので歩いてみたのです。
かつて道ギリギリまで迫り、歩くと圧迫感を感じた倉庫は跡形もなく、
そこには広々とした空間が広がっていました。
空き地の向こうには巨大なマンション群が出現し、景観が全く変わっていたのです。
爺さんは何処へ……
老いて商売を辞めてしまったのか、
それとももはやこの世の人ではなくなってしまったのか……
おチュウには知る由もありません 😆
ただ、爺さんは古い倉庫と共に消えてしまったのです。
大阪の一等地ですから、程なくここには新しいビルが建つのでしょうね。
また新しい歴史が持ち主と共に始まるのです。
双六の上がりは遙かに遠く……先の先
新しいビルが老朽化しなくなるころ、確実におチュウはこの世にいないでしょう。
時代の移り変わりというものを感じてしまいました。
ちょっとばかりクセの強そうな爺さんだったので、おチュウの心に爪痕を残して行ったようです。